週報コラム「スーパームーンの下で」

仮庵祭-スーパームーンの下で-  森本裕子

旧約聖書レビ記23章にイスラエルが祝うべき3大祝祭が定められています。
そのうち過越祭は主の復活のイースターとなり、七週祭は弟子たちに聖霊が降臨したペンテコステとなってキリストの教会でも同時期に祝われていますが、一番知られていないのが仮庵祭(かりいおさい)ではないでしょうか。

時期は秋の収穫のころ、ちょうどスーパームーンの下で祝われます。
祭りが意味するのは、出エジプトを果たしたイスラエルの民が、神様の導きの中、約束の地を目指して荒野を40旅した間、テント(仮庵)暮らしをしたことの記念です。その時、神様は民のただ中にある幕屋に御臨在くださいました。期間中は自宅の庭や町の広場に仮庵を建ててその中で過ごします。

実はわたしは神学校在学中に旧約聖書神学専攻の先輩に誘われて、この仮庵祭を祝ったことがあります。ユダヤ教の祭りですから、教授たちに「変なことをはじめたな」と横目で見られながら…大学敷地内の芝生に長い鉄パイプやらカーテンやら、その辺にあった材料で仮庵をこしらえ、規定の植物の枝を可能な限り集め、声をかけて集まった学生寮の仲間と祝った一夜限りのなんちゃって仮庵祭。(本当は8日間なのです)
内容は現代のユダヤ教の祝い方にのっとって、発起人の先輩がヘブライ語で祈り、みんなで「コヘレトの言葉」を輪読しました。フォークダンスでおなじみのマイムマイムは仮庵祭のクライマックスにみんなで踊るダンスです。普段あまり運動しない神学生たちが手を繋いで輪になって、スーパームーンの下で思いっきり踊りました。

月明かりの下、虫の声を聞きながら、仮庵に身を置いて遠いイスラエルの経験と神様の恵みを思う、忘れられない時となりました。
今、私たちの教会は仮庵祭を祝うことはしませんが、主イエス・キリストによって救い出された我が身の幸いが重なりました。全身を日常から切り離して祝うことの意味深さ。それ以来、毎主日の礼拝がわたしにとっての仮庵祭となったのです。

「言(ことば)は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。」(ヨハネによる福音書1章14節)