文学の中の信仰2

文学の中の信仰2  Kazuko.A

「ハイジ」ヨハンナ・シュピリ

この本がキリストの証しと伝道の文学であると知ったのは、そう遠い昔のことではない。500ページにも及ぶが、矢川澄子訳がいい。

一番好きな箇所は、ハイジが有名な放蕩息子の話をする場面。
その後、胸に手を組んでお祈りの姿で寝ているハイジの寝顔を見つめるおじいさん。
「父よ、わたしはあなたの息子と呼ばれるに値しません。」
おじいさんの頬を大粒の涙が流れていく。

今もこの本を読むと涙が出てくる。
全編に神様に委ねて生きていく作者の信仰があるからだろう。
登場する3人の子どものうち、両親健在の家庭の子はいない。
孤独で不幸な人たちの中、ペーターやクララのおばあさんたちの信仰が胸を熱くする。
ハイジをよこしたのは、神様の思し召しだったんだ、と教会へ足を運ぶおじいさん。

作者の墓には詩編39:7が刻まれているそうだ。
「主よ今、わたしは何を待ち望みましょう。わたしの望みはあなたにあります。」