こわい話 今井裕子
毎週木曜日、旭幼稚園のバスに添乗しています。ある時、登園のバスの中で「怖い話をして!」とリクエストがあって、やまんばの話をしました。それが大好評で、怖い話は木曜朝バスの定番になりました。やまんば、鬼、幽霊、妖怪…覚えている限りの怖い話をし、時には創作も。子どもたちは怖い話が大好きです。
ある時、そうだ!聖書にも怖い話はたくさんある!と、ダニエル書5章の「壁に字を書く指」のお話をしました。王宮の白い壁に「メネ、メネ、テケル、パルシン」と謎の言葉を書く指。意味を解き明かすダニエル。そしてダニエルに解釈の褒美を与えた夜に、殺されてしまうベルシャツァル王。静かに聞いていた子どもたちは、終わると「なんで殺されたの?」「誰の指だったの?」とすっかりお話のとりこになっていました。それからも、獅子の穴に投げ込まれるダニエルの話、燃え盛る炉に投げ込まれる三人のお話、ダニエル書からいくつか話しました。更にはエステル記や、出エジプトの十の災いのお話も。話し始めると、初めは窓の外を見ていた子どもも、いつの間にか聞いているのでした。
語っていて気付く事。聖書のお話は、他の昔話の怖い話とはスケールが違います。残虐に思える場面や、意味のわからない所が出てきますが、不思議にわくわくさせられます。聞いた心は、人間のあやまちや限界を哀しみながらさまようのではなく、神様のお力に驚き、心底ゾッとすると同時に心強さを味わうのです。その極みが、主の十字架と復活の出来事を聞くこと。これ以上に恐ろしく、また喜ばしい話はないでしょう。
子どもたちは、真実に「こわい話」を聞きたがっています。そして真実に力ある話、そう、神様のお話を聞きたがっています。
今年度の園バスメンバーは、骸骨とお墓のお話が好きだというので、エゼキエル書37章「枯れた骨の復活」のお話と、マルコ福音書5章「レギオン」のお話を手始めに先週お話しました。聖書のお話、まことの神のお話こそがわたしたちに畏れと新しい力とを与えてくれます。聖書がもっとわたしたちの身近になりますように。